自立学実践研究所のコア理念
「どんな困難があろうと、人は変わることができる」
「人間の認知構造は変容可能である」
ルーヴェン・フォイヤーシュタイン

存在意義と使命

  • 障がいのある方が社会で役割を持ち、自立した生活を送る社会の実現
  • 人はどのような状態からも必ず変容することができるという信念に基づき、社会構造の構築・更新、支援者の育成とネットワーク化を図る

役割

障がいのある方の「より良いキャリア(人生)構築」を共にデザインしサポートするために必要な知識、考え方、学び続けるためのネットワークの提供

行動規範

  • 何事にも目的と目標を明文化させた状態で行動する
  • 逆に、行動結果から自分は何を目的(目標)に実践したかを分析する
  • 自分の関心に対して自由と責任があることを自覚する
  • 他者の関心に関心を持ち、肯定ファーストを実践する

社会へのメッセージ

自立学実践研究所は、プロフェッショナルサポーターの育成やコミュニティ運営を通して、障がいがある人の自立や成長に必要とされる社会の関心の輪を広げていくための活動を行ってまいります。

自立学とは?

前提:自立について

一般的に言われるような自立のニュアンスとしては、精神的な自立・生活の自立・経済的な自立(結果としての自立)がありますが、これらの自立を促進するためには、前段のプロセスに目を向ける必要があります。

私たちは、それを意識としての自立行動としての自立であると考えます。この意識と行動の自立の循環をより良い方向に促していくことで、より安定した結果としての自立につなげていくことが可能となります。

意識としての自立と行動としての自立は、障がいの有る無しに関わらず必要な考え方です。

自立学実践研究所において意識としての自立は障がいのある方・支援者のどちらか一方に求められるものではなくて、両者の人間としての自立や成長の分脈において獲得していく必要のあるポータブルスキルであると考えています。

ポータブルスキルとは、その言葉通り業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」と定義されます。

困りごとを抱えている相談者に共通していることは「自分の人生をより良くしたい」というニーズを持っていることです。つまり、人生をより良くするための相談を受ける人は、自分で人生をより良くするためのアプローチを体現していて、それを自分にも他者にも使いこなせる人が望ましいと感じるのが自然であると考えています。

加えて、良い支援者であるためには、まず自分自身の状態が整っていることがベースとなります。自分の心と体の健康があって、初めて他者に対して、より良い支援をすることができるのではないでしょうか。

自立学実践研究所では、その人生をよりよくするスキルが意識としての自立と行動としての自立であると考えております。

自立学とは?

現代の社会はVUCAと言われています。VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなぎ合わせた言葉です。

  • Volatility:固定されたものではなくてよく変わる
  • Uncertainty:確かなものがなくて不確実である
  • Complexity:単純でなくて複雑である
  • Ambiguity:明確ではなくて曖昧である

そんな複雑化し先も読めない状況の中で、人生をよりよくしていくためには誰であっても個人のOS(意識)のアップデートが必要です。それは障がいのある方、障がいのある方をサポートする支援者も同じです。

更にいうなれば、支援者の理想像は自分自身と障がいのある方の両方のOSのアップデートができることであると私たちは考えています。自立学は、それらを実現するための手法を提供していきます。

自立へのアプローチについて

実際に障がい者の方の自立支援を行う際には、以下の4つの領域へのアプローチが必要になります。自立学実践研究所では、各領域での捉え方や能力を刷新していくために様々なアプローチをとりながら自立をサポートできる人材育成に寄与します。
ここでいう支援者とは、障がいのある方の自立に関わるすべての人たちを意味します。

自立・就労支援のアプローチ図

自立のアプローチ図

①障がいのある方が社会で活躍するための自立支援

障がいとは、障がいのある方の中にあるのではなくて、社会との関係性の中に障壁として表出されます。支援者は、その障壁は何なのか?その障壁からくる障がいのある方の困りごとは何なのか?を捉え、そのアプローチを考えるセンスが求められます。

②支援者と障がいのある方の関係性を通しての自立支援

支援者と障がいのある方の関係性は、多義的です。支援者は、基本プロフェッショナルとして職務上の関わりを求められますが、一方で人と人の関わり方、例えば、いい友人であることや頼れるパートナー・人生の先輩としての役割も求められます。何より信頼関係を築くためには、状況と目的に合わせて関わり方を変えられる柔軟性が大切です。加えて、人と人の関わりの中ではお互いが学び合う関係性が構築されると良い相乗効果が生まれます。その相乗効果が支援に直接活かされるはずです。

③誰もが持つ人としての願い、ビジョンの確立、実現に向けた自立支援

障がいのある方にも支援者にも将来のなりたいイメージがあります。イメージと言っても大きな話ではなくて、誰しも今日よりは明日より良い人生になってほしいと感じているはずです。大抵の場合、支援者は組織に属しています。その組織にも理想やビジョンがあります。それぞれの立場の未来像が言語化されていて、それに向かってアプローチがされていることが大切です。また、将来のイメージがあっても、その通りにいかないことも人生です。ここでは、目標を持っていること・それが達成することが重要なのではなくて、それ自体の過程から何を学び、どう活かしていくのかが大切であると考えております。

④適切な社会的関係を通じての自立支援

支援者は障がいのある方のために何でもサポートをすることが正しい支援ではありません。支援の量や障がいのある方との距離感を考えながら、適切な関わり方を探っていきます。過剰に関わりすぎると過剰な支援になり、時には、障害のある方の自立を妨げてしまいます。支援の量が少なすぎると、サポートや配慮があればできることもできなくなってしまいます。時として支援の量を決めるのは難しいものです。多めの支援から、障がいのある方の自立と共に調整をしながら支援の量を減らしていくといいかもしれません。これは支援をなくすという前提ではなくて、いつでも相談をしたら対応ができる体制を整えて初めてできることであると考えています。

プロフェッショナルサポーターとは?

自立学実践研究所では、本人の特性や状況に合わせ望ましい状態を明確にし、本人の実践をサポートするスキルとマインドを持つ支援者のことを、プロフェッショナルサポーターと定義します。

ここでは、プロフェッショナルサポーターについての基本的な考え方や目指すべき在り方などについて説明いたします。

だれがなれるの?

障がいのある方の自立や成長に関わるあらゆる支援者がなれことができます。

そして、各ステージごとにプロフェッショナルサポーターの存在が多ければ多いほど、障がいのある方のより良い変容や可能性を伸ばすことのできる確率が増えていくと確信しております。

一般的な支援者の役割

本当の意味で柔軟な支援を行うためには、支援対象者の状況や状態によって支援方法を柔軟に変化させていく必要があります。

相手が落ち込んでいるときは、ありのままを受け止め相手の話を聴くことが必要となりますし、健康状態もよく意欲的な場合は知恵を教えることも可能性を伸ばすことも必要となります。

プロフェッショナルサポーターが位置するところ

このような状況の中で、私たちの目指すプロフェッショナルサポーターは、これら支援対象者の状況を見極め、手段を適切に選択して対処できるスキルとマインドを持った人材のことを指します。

プロフェッショナルサポーターの在り方

プロフェッショナルサポーターが目指す在り方は、他者への貢献・幸せが自分自身の幸せにつながることを体現することです。決して自己犠牲に陥ることもなく、自己が中心となることもなく、その両面を循環させていくことを目指します。

また、このようなプロフェッショナルサポーターは下記のような考えを持っています。

  • 障がいは「状態」で、アプローチ次第で変わっていくことを知っている
  • 具体的な目標を立て相手の変容に責任を持つ
  • 結果だけではなく、学んでいくプロセスを相手と共有することができる
  • 常に相手の視点に立ち、本人に気づきをもってもらうスタンスとスキルを持つ
  • どのような「状態」の人でも、ともに初め、ともに達成を味わいながらすすめる学習方法を習得している

 

プロフェッショナルサポーターの及ぼす影響

プロフェッショナルサポーターの存在は、障がい者に関わる他の人にも健全な影響を及ぼします。

障がい者の親に対して

・プロフェッショナルサポーターが子どもに関わることにより、本人の可能性がひらけ、あらゆる場面で選択肢が増えるようになった。

施設経営者に対して

・支援者のスキル向上が結果的に利用者の満足度の向上につながる。
・支援者が自己マネージメントを習得することで、事業所のマネージメントも応用することができるようになる。

ステージごとのプロフェッショナルサポーター

自立学実践研究所では、人はどんな境遇であろうと、何歳であろうと、どんな障がいを持っていようと「全ての人はより良い人生をおくるために変わることができる」という信念に基づきプロフェッショナルサポーターの育成を目指しています。

そして、各ステージごとにプロフェッショナルサポーターの存在が多ければ多いほど、障がいのある方のより良い変容や可能性を伸ばすことのできる確率が増えていくと確信しております。

プロフェッショナルサポーター養成について

基本は、協力企業様にむけての開催が主になりますが、オープン開催の場合は、個別にお問い合わせ下さい。
お知らせ・コラム

理事紹介


代表理事 田中佑樹
大学卒業後、貿易会社に勤務。2012年、立教大学21世紀社会デザイン研究科比較組織ネットワーク学専攻修士課程修了(NPO/NGO:非営利・公共分野を研究の主対象とするビジネススクール)。その後、障がいのある方への就労支援をする傍ら、障害者雇用を推進している事業主に対して助言・サポートを実施。就労支援の現場では、全ての障がい種別の方を担当。障害者雇用のコンサルタント業務を経て、自立学実践研究所の立ち上げに関わる。2022年7月より代表理事に就任。
 資格・認定:OS21トレーナー(自分と世界を幸せにするために学び続ける自律型人材の育成)、社会福祉士(「社会福祉士及び介護福祉士法」にもとづく国家資格)、公認心理師(「公認心理師法」にもとづく国家資格) 著書:うちの子、なんか変!?」マンガでわかる障がい児の育て方・伸ばし方


理事 本間正人
「教育学」を超える「学習学」の提唱者であり、「楽しくて、即、役に立つ」参加型研修の講師としてアクティブ・ラーニングを25年以上実践し、「研修講師塾」を主宰する。京都芸術大学教授・副学長、NPO学習学協会代表理事、NPOハロードリーム実行委員会理事。
東京大学文学部社会学科卒業、ミネソタ大学大学院修了(成人教育学 Ph.D.)。ミネソタ州政府貿易局、松下政経塾研究主担当、NHK教育テレビでビジネス英語の講師などを歴任。コーチングやポジティブ組織開発、ほめ言葉などの著書77冊。


理事 熊平美香
ハーバード大学経営大学院でMBAを取得。GEの「学習する組織」のリーダー養成プログラム開発者と協働し、学習する組織論に基づくリーダーシップ、チームビルディング、組織開発を軸にコンサルティング活動を展開。
教育改革の促進、社会起業家の育成、教育格差是正など幅広い分野で活動。2015年、21世紀学び研究所を設立し、企業と共にニッポンの「学ぶ力」を育てる取り組みを開始。同研究所では、経済産業省が2018年に改定した社会人基礎力の中に、リフレクションを盛り込む提案を行い採択された実績を持つ。


理事 竹之内幸子

大学卒業後、石油の元売会社に入社。息子が2歳半のころ広汎性発達障がいと診断を受け、仕事と療育の両立をしながら、2012年、ダイバーシティ推進(主に女性活躍がテーマ)のWoomaxを設立。2015年、株式会社アイネット(コード番号9600 東証第一部)社外取締役に就任。2022年7月より後続育成に注力するべく自立学実践研究所の代表理事を退き理事となる。

息子は2022年現在、29歳。特別支援学校高等部から、レンタルDVDショップで8年間無遅刻無欠勤にて就労したのち、定年まで働くという本人のビジョンをかなえるため、損害保険会社に転職、現在営業事務サポートに従事している。

法人について

法人名 一般社団法人自立学実践研究所
設立 2020年7月
所在地 〒160-0023 東京都新宿区西新宿三丁目3番13号 西新宿水間ビル6階
メールアドレス info@jiritsugaku.com