2025年4月某日、武蔵大学経済学部・内藤知加恵ゼミの第1回目の授業にて、「ジコリカラボ」を実施させていただきました。

内藤 知加恵 ゼミ

テーマ:ダイバーシティ&インクルージョン

人材の多様性を経営に生かすには何が必要かを考察します。障がい、人種・民族、性別、性的指向ほか、あらゆる属性がゼミの研究対象となります。インタビュー調査、アンケート調査、データ分析によって、ゼミ生自身が立てた問に、皆で答えていきます。

武蔵大学は「ゼミの武蔵」と謳っていて、とてもゼミ活動に力を入れている大学です。

そんな武蔵大学の内藤知加恵ゼミのキーワードは、ダイバーシティ、多様性、組織行動論です。

ゼミでは近年企業が重視する「ダイバーシティ & インクルージョン」をテーマに各々が研究を行います。

その中で、多様性の高い職場で働く個人は、何を感じ、どう考え、行動するのか。多様な人々が働く組織をどうマネジメントし、どのように組織の強みに変えていくのか。ゼミでは、組織行動論の知見を軸に、学びを深めています。

今回のゼミ実施のご縁は、障害のある学生が「自分らしい働き方」へ一歩踏み出すためのキャリア支援プラットフォーム「GATE-C」を運営する菅野さんのご紹介を通じて、企業のダイバーシティやインクルージョンを経済学の視点から研究されている内藤知加恵さんと出会ったことが契機となりました。

内藤さんは、その後、毎月、赤坂見附の「スナックひきだし」で開催しているジコリカラボにも何度も参加してくださるようになり、「大学生にもジコリカラボを体験してもらおう」という流れで、今回の実施が実現しました。

ジコリカラボとは、スナックで開催される対人援助職や社会課題の解決に勤しむ方のための対話会・飲み会で、グループリフレクションを通じて自己理解と自己覚知を探求する場となっています

当日、初回のゼミには、新2年生の学生22名が参加しました。

105分のゼミは、以下のような流れで進めました。

はじめに、自立学実践研究所の紹介を行い、次に、学生一人ひとりには「今日呼ばれたい名前」を自分で決めてもらい、それをネームシールに書いて胸に貼ってもらいました。初対面同士という方も数多くいて、名前を決める場面では、お見合いや譲り合い、ちょっとした相談などが自然と生まれ、まだ何が始まるのか分からない中での独特の緊張感が漂っていました。

続いて、アイスブレイクとして「マジョリティ(多数派)ゲーム」を実施。価値観に関する質問に対して、多数派を予想するシンプルなゲームですが、この時間をきっかけに、自然と笑顔が増え、場の空気がぐっとやわらいでいきました。

このときマジョリティ(多数派)ゲームで出したお題は以下の通りです。

  1. 友達になるなら「自分と似ている人」と「全然ちがう人」、どっちがいい?
  2. 「お金」と「時間」、今の自分にとってどちらが大事?
  3. 「過去」と「未来」、行けるならどっち?
  4. 「好きなことを仕事にしたい」と「得意なことを仕事にしたい」、どちらを優先したい?
  5. 人を好きになるとき、「その人のことが好き」か「その人といる自分が好き」、どっち?

この時点で、学生たちの表情もほぐれ、緊張がかなり和らいでいる様子が見られました。

次に、「ジコリカラボ」の趣旨を紹介し、バリューズカードを使った“価値観を探るワーク”へ。正解のない問いやモヤモヤするテーマに向き合う中で、学生たちはそれぞれのペースで、自分の内面を観察し始めました。

その後のグループリフレクションでは、「感じたことから話す」ことを大切に、それぞれが気づいたことや、自分の価値観についてグループで語り合いました。最後のクロージングでは、ワークを通じて得られた気づきが全体に共有され、学生それぞれが考えるコンテクストが交換される時間となりました。

今回の実施を通して、改めて「ジコリカラボ」の場が持つポテンシャルを強く感じました。場の構造が本質的であれば、参加する人が変わっても自然に深まりが生まれる——実施する世代が異なっても、少しの調整を加えることで、よりよい対話の場はつくれる。そして何より、構造とプロセスが人と人との相互理解を生み出すということを、改めて実感する時間にもなりました。

この度は、このような機会をいただき、ありがとうございました。